アンボレラの衝撃?

Last updated on Friday 26th September 2003


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仲田 2003.08.24 Sun 21:30:42
最も原始的な被子植物として、Amborella という植物がしばしば言われます。 この植物はニューカレドニアのみに自生する樹木で、幾つかの遺伝子の証拠から、 最も原始的な被子植物か、少なくともその一群であるとされてきました。

その興味から、今回葉緑体の全ゲノム配列が決定されましたが、その結果、新たな問題が生じました。 葉緑体の遺伝子をたくさん使って系統樹を描くと、 なんと期待に反して Amborella が高等な双子葉類の中に入ってしまったのです。 近年の被子植物進化の定説とは完全に異なるデータなので、これが本当ならえらいことでしょう。

ただ、論文を読む限り、従来の結果と今回の結果のどちらが正しいかはまだ解釈の余地があり、 これから先の激しい論争が予想されます。

Goremykin, V. V., Hirsch-Ernst, K. I., Woelfl, S. & Hellwig, F. H. Analysis of the Amborella trichopoda chloroplast genome sequence suggests that Amborella is not a basal angiosperm. Mol. Evol. Biol. 20, 1499-1505 (2003).

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