哺乳類型爬虫類とよばれたグループがあります。
彼らは哺乳類を生み出したグループで,
恐竜が生まれる前に栄華を極めた生物でした。
しかし,多くの系統は古生代末の大量絶滅で消滅し,
残った少数のグループも数を減らし,哺乳につながる系統のみが,
恐竜の横で細々と生き延びました。
生き延びた哺乳類が地上を奪還するのは,
中生代末の大量絶滅の後ですが,今回は,生き延びなかったグループに
関する論文です。
古生代末の大量絶滅を生き延びた(しぶとい)グループの内,
ディキノドンの仲間は,古生代の最初の区分である三畳紀の後期に
絶滅してしまいます。
(記憶によれば)このころの中規模な大量絶滅により,
哺乳類型爬虫類の生き残りが壊滅し,恐竜が台頭して来たとされています。
ところが,三畳紀の終わり以来知られていなかったディキノドン類の化石が,
絶滅から1億年以上も後のオーストラリアの地層から発見されました。
生きている化石として有名なシーラカンスの場合,
6500万年前に絶滅したと思われていたのが見つかって
大騒ぎになったのと比べると,如何に驚くべき発見なのかが分かると思います。
オーストラリアは三畳紀の頃から他の大陸とはほとんど隔離され,
静物が独自の進化を辿ったと考えられることから,
ディキノドン類もオーストラリアだからこそ生き残れたのでしょう。
ただし,1億年のタイムラグは依然として信じがたいものであり,
化石自体は1915年に発見されたもの(博物館に保管さレていた)
であることから,化石の由来,信頼性など
厳しい批判にさらされることでしょう。
もちろん,著者らも綿密なディスカッションを行い,
この化石が真に白亜紀のディキノドン類であることを論証しています。
化石は頭蓋骨の破片6個であり,
上顎骨の一部(これからディキノドン類であることが分かった)などを
含んでいます。ただ,素人が見て,
パッと分かる程見事な化石という訳ではなく,疑問が残ります。
興味のある人は,自分の目で論文をチェックしてみて下さい。
Reference