昨日のNature からです。 中国で新種の羽毛恐竜が発見されました。 ここ十年ほどの間に、中国の遼寧省では多数の羽毛恐竜が見つかっています。 もともと骨格などの類似性から鳥と恐竜(特に獣脚類) の近縁性が指摘されていたため、 羽毛恐竜の発見は鳥=恐竜説の決定的な証拠となりました。 現在では鳥は恐竜から進化した恐竜の一グループであるとの考えは 広く受け入れられています。
鳥の祖先の正体が明らかになってくると、 次に問題になったのは何故恐竜が 羽毛や翼を持つようになったのかということでした。 特に、翼の(=飛行の)起源については2つの仮説が対立していました。
一つは、地上を走行する恐竜が直接空を飛ぶようになっていったというもので、 樹に駆け上がるのに翼が役に立ったと言われたりしています。
もう一つの仮説は、樹上性の恐竜が樹から樹へ飛び移ったり、 地上へ飛び降りるときに翼を用いたというものです。 言ってみればグライダーやパラシュートとして翼が進化してきたと言う考えです。
今回見つかったMicroraptor gui は、 鳥に一番近いとされる恐竜のグループ(ドロマエオサウルス科)に属しており、 全身が羽毛に包まれています。驚くべきは後肢も翼になっていることです。 羽毛は左右非対称で、この恐竜が飛行(または滑空) 能力を持っていたことを強く示唆します (左右非対称な羽は揚力をもたらすため、飛行にきわめて重要と考えられます。 なお、飛べない鳥の羽は左右対称だったりします)。
さて、後肢にも翼がある(つまり4枚の翼を持つ!!)ということは、 手足の爪の特徴などとも合わせて、 この恐竜が樹上を滑空するような生活をしていた可能性が高いと考えられます。 後足の翼は地上を走り回るのには明らかに不便なことも言えます。 これらのことから、著者らは鳥類の祖先が樹上性の恐竜だったと考えています。
Reference
Articles
Scienceでも紹介してました。復元図がきれいです。