7月に鹿児島に漂着したクジラが、タイヘイヨウアカボウモドキ (Indopacetus pacificusまたはMesoplodon pacificus) と同定されました。 この種は、80種前後知られているクジラの中で 最も謎の多いクジラとされてきました. そのわけは、これまでに公表されている情報がほとんど全て、 2個の頭骨のみに拠っていたためです(最近4つの標本が追加されたらしい)。 生きている個体どころか、頭より後ろのデータが今まではなかったわけです。
そこで、何冊もでているクジラ図鑑でも、 タイヘイヨウアカボウモドキに関しては図がなかったり、 想像図のみ載っているのが常でした。 今回、世界で始めて全身がそろった標本が得られたため、 今後の図鑑はイラストが完備するはずです。
この種はMesoplodon属に含められるべきか、 独立したIndopacetus属にするべきか議論があるので、 この標本から決着がつくことも期待されています。 詳細は国立科学博物館のウェブページを参照してください.